カラオケがそのままテレビに?今だから攻める!熊本県民テレビのチャレンジ
熊本県民テレビ(KKT)が届ける土曜の朝番組「サタココ 」が新コーナーでテレビをカラオケにした。その背景と想いを今回、制作陣から聞くことができた。
「いま、テレビに何ができるのか?」
「いま、テレビに何を求められているのか?」
そんなことを考えているとき、以前、讀賣テレビのプロデューサー・西田二郎氏とKKTの永田広道常務と話していた企画のことを思い出しました。
それは、「テレビでカラオケを流して、視聴者の皆さんにテレビの前で歌ってもらおう!」という企画です。その時は別の目的を考えていたので、なんとなくイメージがつかず、企画も形にできませんでした。
ところが、いまは違います。
サタココがテレビをカラオケにした訳は?
みんな外出を自粛して、家の中で過ごす時間が圧倒的に増えています。
1人暮らしの学生さんや、お年寄りの方など、話す相手もおらず、不安な日々を過ごしているとも聞いています。テレビでカラオケを流すことが、テレビにしかできないことになっていると感じたのです!そして以前からお世話になっていた第一興商さんに相談したところ、すぐに御対応いただき、御協力いただけたのですぐに実現することができました。
カラオケを歌うことで少しでも気分をリフレッシュしたり、声を出すことによってストレス発散したりできるのではないか?と。実際に、カラオケを歌って普段より大きな声を出すことは、健康にも良いと言われています。また、何より見ている人の真ん中に「テレビ」がある図をイメージしたとき、『これだ!!!』と思いました。
この時期、報道機関であるテレビ番組の使命として、視聴者の関心度が高い「新型コロナ」関連の情報は随時、伝えていかなくてはなりません。一方で、テレビは娯楽のひとつでもあります。
「サタココ」は、報道番組ではありません。であれば、テレビの前の視聴者が楽しんでくれて、コミュニケーションのきっかけとなるようなツールになって欲しいとの思いで制作している番組です。
今回の“テレビでカラオケ”企画は、まさにそのような思いから生まれた『挑戦』でした。
本企画に取り組んだことで、いくつか課題も見つかりました。
一番大きかったのは、選曲です。テレビは老若男女、さまざまな人が見ています。流す曲を知らない人や、歌えない人に、どうやって受け入れてもらうのか。今回は、KKTの資料映像を使って、背景に流す映像を作りました。例えばスピッツの「チェリー」の場合は、県内の桜の名所の映像を繋いで、映像作品としても見てもらえるような工夫をしました。しかし、1曲をフル尺で流す間、歌わない人がテレビを見続けてくれたかは、不安が残ります。また、映像も資料映像を使うため、どうしても無機質なものになってしまいました。
今後、視聴者の方にもっと近い目線で楽しんでもらえるような企画にできるよう、研究していく必要があると思っています。
カラオケがテレビに!大胆な発想はどこから?
新型コロナウイルスの影響で、番組制作の現場は混乱しています。日々、刻々と変わる社会状況のなか、特に「サタココ」のような収録ものの情報番組は、収録した時期と、放送時期にタイムラグがあるため、非常に難しい状況です。
そんな中でも、私たちが心掛けているのは「熊本の人に喜んでもらえる番組作り」です。熊本の人のことは、熊本の人が一番わかります!そこに住んでいる私たちが作るから、県民に寄り添った番組が作れると思っています。
これは、いまやローカル局が存在する意義だとも思っています!!いつもは地域の生活情報を中心に、あらゆるジャンルの情報を県民の皆さんにお伝えしています。しかし、いまは県民の皆さんが家で過ごす時間にテレビを活用していただき、多角的にメッセージを伝えていくことが大事だと思っています。
これは、ニュースでも情報番組でも一緒です。キー局からの番組とは違う、より視聴者の方との距離が近い番組を、これからも、できる限り、放送していきたいと思っています!
『みんなで、コロナ禍を乗り越えよう!!』
その一助として、テレビが役に立てるよう、これからも番組を制作していきたいと思います!
今だからこそ、それぞれが出来ることを。そうしてテレビに新しい切り口を見出したサタココ。これからの挑戦も楽しみだ。
(UNPORTALISM編集部)