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【編集者のなぐり書き】「太陽の塔」から。コロナそしてドライブインシアター Re:S藤本智士

コロナ禍のエンタメを学ぶべく、万博公園のドライブインシアターへ。

上映は夜だけど、せっかくなので昼間のうちに太陽の塔の入館予約をして、内部にある生命の樹を観賞。こういう時期ゆえ、人も少なく、ソーシャルディスタンスも徹底されていたので、安心して岡本太郎の世界に没頭出来る贅沢な時間。

徐々に日も沈み、車を移動させて、いよいよドライブインシアターへ。背中に太陽の塔がそびえる、そのすぐ前で、ドキュメンタリー映画「太陽の塔」を観賞出来るなんて、またとない機会。
この企画を知って飛びついたけれど、まだあまり知られていないのか、車の数はまだ少なかった。

けれど、ドライブインシアターは、コロナ禍において、とても可能性のあるエンタメだと僕は思っている。

ちなみに上映前には、立川直樹さんとヤノベケンジさんのトークもあって、お二人にもお世話になりつつ、キリンプラザ大阪という現代美術ギャラリーの仕事をさせて貰っていた30歳の頃を思い出した。

✳︎

そして始まった映画「太陽の塔」。

最高に素晴らしかった。

いまこそもっともっと観られなきゃいけない映画だ。

最近、マルセルモースの『贈与論』を頑張って読んでいること。ここ数年東北に通い詰めていること。それら全てが、20代の頃に熱烈にはまった太郎さんと繋がっていたことに、この映画で改めて気づかされた。

『人類の進歩と調和』をテーマにした国家プロジェクト、EXPO’70において、ただ一つだけ、科学技術の進歩発展礼賛に抗ったのが、太陽の塔だった。

30年が経ったいま、太陽の塔だけが残り、
いまもなお、そこに立っている。

太陽の塔の背中にある黒い太陽。そして渋谷にある明日の神話。あれらは人口の太陽と言われた原子力の象徴。

映画のなかで赤坂憲雄さんが言っていた、日本人は原子力を扱う資格がないという言葉が忘れられない。

当時の太郎さんのメッセージを、いまこそ人類は真っ直ぐ受け取らなきゃいけない。

藤本智士:

有限会社りす代表
http://re-s.jp/

1974年兵庫県生まれ。雑誌「Re:S」編集長を経て、秋田県発行フリーマガジン「のんびり」、webマガジン「なんも大学」の編集長に。自著に『魔法をかける編集』(インプレス)、『風と土の秋田』(リトルモア)。写真家の浅田政志氏との共著『アルバムのチカラ』(赤々舎)。編集・原稿執筆した『るろうにほん 熊本へ』(ワニブックス)、『ニッポンの嵐』(KADOKAWA)ほか、手がけた書籍多数

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