【ホリエモンの目にも涙!?】クリスマスキャロル・ホリエモンミュージカルが魅せた「心の領域」
大阪はミナミにある味園ユニバース。
もともとはキャバレーだったところの しつらえが、今となってはお洒落でどこか懐かしい空間。
2019年12月24日、クリスマスの混乱に実業家ホリエモンが挑んだミュージカルとは、一体どんなものだったのだろうか。
食×劇という新しい形のミュージカル
主人公スクルージを演じるのはホリエモンこと堀江貴文氏。彼を筆頭に、スクルージの青年時代の恋人ケイト役に武田玲奈氏、スクルージ青年時代を演じたのは岸洋佑氏、更に脚本・演出・作詞・音楽を担当し、自身も大天使ミカエル役として出演した湯澤幸一郎氏など20名以上もの出演者たちで構成された舞台クリスマスキャロル。
このクリスマスキャロル・ホリエモンミュージカルは、美味しいお肉を食べながらミュージカルを観るというスタイル。
コンテンツを、エンターテイメントを楽しむ新しいスタイルに挑戦している。
よくある巷のディナーショーとは、また一味も二味も違うのだ。ミュージカルが始まる前には前菜がサーブされる。
お肉の味がしっかり効いたハンバーガー。一品一品にシェフの力が漲っているのが伝わってくる。
クリスマスキャロルが伝えるメッセージとリアリティ
いよいよショーが始まった。
メンバーたちも、いくばくかの緊張を取り払うように舞台が始まり、しばらくしてホリエモンが登場し、会場は大きな拍手に包まれた。
このホリエモンミュージカル。お肉なのか、ミュージカルなのか、楽しませたいとのはどっちなのか。
とても不思議に思って参加した舞台だった。
食べ物は間違いなく上質。そして、観ているうちに、舞台のメンバーたちのお芝居が、本気でこちらにぶつかってきているのがヒシヒシと伝わってきた。
ホリエモンこと堀江貴文氏。どちらかというと感情の起伏はクリエイティブなことより、ビジネス方面に特化しているように感じる人物。だからこそ一体舞台としてどうなのか?と思われる人も多いにちがいない。
「クリスマスキャロル」の舞台は半ばホリエモン自身の人生の半生を描いた自伝とも言える。
〝ビジネスと人間の心の問題〟に切り込んだ作品に仕上げることでビジネスでの話をクリエイティブに昇華させているのだ。
ホリエモン自身のリアリティもそこにあるからこそ、台詞も自然と入ってくる。
舞台の中休みの時、観客の人たちに挨拶のために観客席を回っていく。これもまた、このミュージカルの面白いところ。
ホリエモンは「どうですか?」と一言。
「自伝的な仕上がりになってるんですね?」とこちらから問いかけると、
「いや、そんなことはないですよ」と恥ずかしながら、そして
「まぁ僕の部分が背景といえば背景ですけど」
と否定はしなかった。
ホリエモンミュージカルが問いかける「金」か「愛」か
「ビジネスこそが、お金こそが人生の最大の目標なんだ」と考えている主人公が、果たしてどのような形でクリスマスを迎えていくのか。
主人公は会社で成功を収める暴君的な社長。クリスマスなんて一番嫌いなもの。
「人に決められたものでどうして喜ばなければいけないのか」と社員たちをなじる。
そして自分はクリスマスなど楽しむ気もなく一人で食事を済まし寝床に着く。すると、不気味な音楽と共に大天使ミカエルが現れ「今後三晩に渡り、自分の部下である天使たちが訪れ、三つのクリスマスを見せるだろう」と告げるのだ。
ミュージカルの中では、コストカットなど、あらゆるビジネスの用語が飛び交いながらも、最終的に主人公が辿り着くのは「人の心」
お金だけでは得ることができない心の領域を、ミュージカルという手法で淡々と、時に軽妙に描いている。印象的だったのは最後の一言。
「僕にもそんなことがあったんだよ」
ホリエモンが役者をグッと抱きしめた時、自らの投影がそこにあると思い、気づくと涙が流れ出していた。
そんなミュージカル「クリスマスキャロル」東京公演に引き続き大阪公演も完売したそうだ。
来年は更に公演数を増やし、様々な場所でホリエモンミュージカルを開催していくに違いない。
(UNPORTALISM編集部)