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「病気にさせない」が最終ゴール 歯科医師 松谷英子さん

東大阪市のデンタルクリニックの院長 松谷英子先生は、歯科医師であり、心理カウンセラー,メンタルトレーナーでもある。歯は全身の入り口、心も身体も両面からしっかり診て、「病気にさせない」と芯の強い松谷英子先生にインタビューしました。

仕事の裏側にある『生き様』
対話を通して、その人の『輪郭』を浮かび上がらせるインタビュー・シリーズ
The Professionalism Files

 


 

◆引っ込み思案の私を変えた理科の先生‐The turning point

とても引っ込み思案でした。答えが分かっていても手を挙げられず、なるべく目立たないように過ごしていました。
そんな私の運命を変えてくれたのが、小学校4年生の時に始めたミニバスケットの顧問の先生。
「英子の笑顔はすごく素敵だよ」と声をかけてくれた先生のおかげで、スポーツが好きになり、理科の先生でしたので理系が好きになりました。
今でも先生とはお付き合いがある恩師です。

この頃から少しずつ活発になり、「歩いていて追い抜かされるのも嫌」というほど、負けず嫌いになりました。
ですが、今の自分になったのは、2度の離婚を経て出会った現在の主人の影響です。
主人は磯マグロの釣り師として、岸和田リトルリーグのピッチャーとして、それぞれ世界一になっているのです。
開業する時に「どうせ開業するならこだわりを持って、他と同じ医院なら、やる必要がない」と言われました。 主人はそうした考えを持っているからこそ、2度も世界一になれたのだなと確信し、その考えを自分の中にも取り入れました。 だから、私の”本気”が患者さんに伝わり、皆さん価値観が変わって若返るのですよ。

心理学
27歳頃の私は、生きる希望をすっかり失い、食事も喉を通らず、毎日6時間泣いて過ごしていました。
「もう明日はないかもしれない」——そんな時に、虫の知らせを感じたのか、母がマンションに訪ねてきてくれたのです。
その日から、「ここからはおまけの人生。もう一度、しっかり生きていこう」と決心しました。

そこで自分を救済するために心理学の学びを始めました。
もともと体育大学に進むか歯科大学に進むか迷ったほど体育会系だった私は、スポーツのメンタルにもとても関心があり、結婚後は心理学を本格的に学び直しました。
授業を受けるたびに、どんどん自分が変わっていくのを感じ、「歯科医」と「心理学」、二足のわらじを履くようになったのです。

心理学を学んで気づいたのは、多くの人が“人生の心の基礎体力”を身につけないまま、ぶっつけ本番で試合に臨んでいるということ。
自己探求や自分探しも、スポーツでいえば指導者もいないまま練習しているようなもので、いくら時間をかけても本質にはたどり着けません。
心の探求や自己分析には、大きな体力が必要です。
フルマラソンの42.195キロを走り切るような覚悟を持って、一度しっかり挑まなければ、次のステージには上がれない——私はそう感じています。

◆父の教え‐Professional code

「努力前進、人の100倍やること」―父によく言われた言葉です。
実際、努力はしましたね。「女だから」と言われたくなくて、意地になってやっていました。

母方の親族には医師が多いので、自然の流れで歯科大に進学。 小学校の文集ですでに「歯医者になりたい」と書いていました。 それでも、最初は自分に自信がなかったので、「バリバリ働くのは私には無理、早く結婚して家庭に入りたい」と思っていました。 
ところが、結婚がうまくいかなかったので、負けん気が強かったこともあり、「ちゃんとやらないと」と奮起して、東京の有名な先生に弟子入りをしました。
「教わるのにお金をもらうなんて虫が良すぎる」という父の考えもあり、無給でもきちんと教えてくれる厳しい病院に飛び込みました。
最初は何もやらせてもらえなくて、技工の仕事を任されていました。初めは「なぜ歯医者なのに技工士の仕事をさせられているのだろう」と思っていましたが、5年目、6年目になるとその理由が分かってくるのです。 歯科医がどう削ってどう噛み合わせをとるかを分かっていなかったら、技工士さんがうまく作れないのです。
一流のドクターは一流の技工士さんとしか組めないのです。技工士もドクターを選ぶのです。

最初から一流の仕事を見せてもらいました。
私は「手が汚れる」「手が荒れる」とよく言うのですが、最初に身につけた技術は一生ついて回ります。
父からも、「これはどんな仕事でも同じ。最初に“この人だ”と思える一流の人についたら、3年間は何があっても離れずにやり抜きなさい」と教えられていました。

本気で患者さんを思って診療する先生は、私のように真剣に向き合い、患者さんにきちんと説明します。
虫歯にならないよう、姿勢から生活習慣までとことん指導します。
その結果、自費治療であっても、100年という生涯スパンで見れば、保険診療よりも安く済むのです。

 

◆信念・哲学‐My quality, My standard

「癌にさせない、病気にさせない」が私の最終ゴールです。 
2人に1人が癌になる時代、うちの医院に来たら癌にさせないようにとことん診ます。 私は歯だけではなく、言葉や心理の面もやっていきますので、だから心も身体も価値観も変わって柔らかくなるので、患者さんは若返るのです。
「10歳若返る医院」というのは患者さんから言われた言葉なのです。
中には、東京から通っている方もいらっしゃいますよ。
自分の身体って毎日使っているのに皆さん野放しにし過ぎています。


「静」と「動」

「明鏡止水」
は大好きな言葉です。常日頃から、静まり返った湖のように、静かに透き通った心でいることを大事にしています。
私は両極端な人なので、もう一つの座右の銘は「常在戦場」。静かに何でも受け入れる心を持ちながらも、どうせ生きているなら戦場にいるように、一瞬一瞬を大事にして、動いている時はしっかりとガッツリ動くというのが私の考えです。戦うというのは大事なものを守るための行動なので。
特に診療室ではスタッフにも厳しいです。

「好かれよう」と思ったら終わりなんです。好かれようと思ったら、その人の人生にとって本当に言わなくてはいけない厳しい事を言えなくなってしまいます。その時一時恨まれても、言わなくてはいけない、突き放さなくてはいけない時は覚悟して伝えます。医師そして、心理カウンセラーとして、そして家族、スタッフなど本当に大事に思う人には、そこを徹底しています。

以前はそうした言葉を言えませんでした。本気で何かを変えようとか掴みに行く時には、「この一言ですべてが終わっても仕方がない」と腹をくくれるようになったのは、再起復活でおまけの人生と感じるようになってから。中途半場に生きてきた結果が、あの頃の人生を終わらせたいと思って泣いた毎日でしたので。 

◆夢‐Future code
これからの未来を担う子どもたちの為に、自分の知識や経験を本で残したい。
当院の「寺子屋わらしべ」というコミュニティでは月に一度、食文化などを通じていろんな人たちを橋渡ししているので、もっと大きなコミュニティにして、発信を続けていきたいです。
そして図書館を建てたい。
学校にあるすべての本を読むほど、本が好き、図書館が好きなので、コミュニティメンバーの居場所になるような図書館を地域に残すことも夢の一つです。

 


 

◇Profile 
松谷英子
歯科医師/心理家カウンセラー・メンタルトレーナー

「10歳若返った」と言われる医院を運営。
薬に頼らず、他院で抜かないとダメ!と言われた歯や神経を残す治療が得意
東大阪市にて歯科・美容皮膚科・エステを併設
医療法人 英仙会 ひらおかデンタルクリニックの院長


20代は、仕事もプライベートも上手くいかず、精神的を病み、
摂食障害になる。
自分を癒しながら、オリンピック選手・ウインブルドン選手などの
メンタルトレーナーをチームで経験し、心理学を現場で学ぶ。
その後、心理学学校を設立。医学と心理学を合わせたカリキュラムが好評。現在はチームで『心とカラダの免疫力をアップする』活動をしている。

若い頃は、人間関係が苦手で繊細。失敗だらけの人生。
離婚やDV、拒食症などで、生きる気力もなくなる時期も経験。
しかし、心理学、精神学、医療分野、食育を深く学び、
現在は諦めていた結婚をし、仕事と育児を両立している。


●書籍
『五感の魔法  あなたが主人公になる申請好転の脚本を創る方法』
『強運は口元から~メンタル歯科医が教える47の幸せ習慣~』
『名医が教える 疲れない・老けない 体をつくる3つの習慣 上下巻』
『母と娘の関係を変える 魔法の言葉術』

※この記事は2025年7月30日clubhouseで1時間のインタビューをまとめたものです

(文:伊東綾子)

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