【普通とは何か】「みんなで創るみんなの職員室」ワークショップ 実施報告
大阪市立大空小学校の取り組みに感銘を受けこの思いを全国に伝えるべくオンラインでのイベント「みんなで創るみんなの職員室」が始まる。初代校長木村泰子先生が語るように多様な生き方、感じ方を「普通」にみんなで一緒の場所で実現すること。小林代表もこの思いを胸に全国の先生たちに発信する。小林代表の熱いレポートをお届けする、と編集部は表現したら、小林代表から
木村校長の「ふつう」
冒頭の文章がやや違和感があります。「普通」という言葉をここで使う意図を教えてもらえますか? 以前、木村先生との勉強会で、木村先生が参加者に対して「普通って何?」という質問をして、皆で意見交換する場がありました。昨年「ふつうの子なんて、どこにもいない」という本も出されていて、木村先生は「普通」という言葉にはこだわりがあると思います。ここで「普通」という言葉を使うのが良いのか?また我々のワークショップの目的は、大空小学校と同様のフルインクルーシブな学校を全国に作る、という事よりも学校現場で教育に関わる先生方が「自分事」として学校の在り方を考えるキッカケを作ること。
と返信があった。確かに!!編集部は何か読み違えをしてしまったようだ。木村先生のインタビューと小林代表の思い。木村校長はそんな「普通」にこだわり教育を進めてきた。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/school_jp_5e1eba34c5b673621f6d9e2e
なるほど、編集部も浅はかに「普通」を捉えてしまっていた。しかもワークショップの意味合いまで。あたらめて今回の「みんなで創るみんなの職員室」ワークショップは学校現場で教育に関わる先生方が「自分事」として学校の在り方を考えるキッカケを作ること。そしてその手応えを確実に感じている小林代表含めた主催者の方達、参加した先生たちがいる。
「ふつう」なのか? 「ふつうじゃないのか」
そもそもふつうとはなんなのだろうか?普通といって、全てを同調してしまう圧力にもなり兼ねない言葉。あまりにも言葉の意味が広くいろんなイメージを与えやすすぎて考えだすとむづかしい。
冒頭のくだりに違和感を覚える小林代表も「‘普通’とか‘ちゃんと’とかって、改めて考えると難しい言葉だな、と思います。これはどちらも木村先生から問いを与えられて、自分に答えがあるのかな?と考えました・・・」と、改めて編集部と「普通」を考えるやりとりに発展。「私も息子に‘ちゃんと’やりなさい、と言ってしまいますが、‘ちゃんと’って何をもってちゃんとなのか?と問われると、しっかり答えられる自信が無かったりします。」と返ってきた。そこで編集部は考えた。いわゆる普通に冒頭を改稿するのは簡単なんだろうけど、これも何かのきっかけかもしれない!
だから!やりとりをそのまま載せてみることにしたのだ。
普通」も「ちゃんと」も、基本的には何をやっても全てオッケーなのではないかと思います。ただし、その行動や言動が自分の意志で行っているのか?自分が責任を持てるのか?という事が伴うのかな。日本では、責任を取りたくないから「普通」にしておこう、という感覚もあるのかもしれませんね。
では熱いレポートを小林代表から。
思いがつなげる教育の未来
2020 年 8 月 11 日、8 月 15 日の2回、「みんなで創る みんなの職員室」ワークショップをオンライン開催しました。このワークショップは、学校教育に関わる一人一人が学校の在り方を見つめ直し、自らが学校現場に関わる「みんな」と共に創っていきたい学校に向けて一歩踏み出すためのアクションを探る対話型のワークショップです。
2回のワークショップでは、北海道から九州まで約 50 名の教職員が参加し、3時間半のワークショップが短かったという声が出るほど熱い対話が行われました。ワークショップでは、課題図書として木村泰子さんの著書(「みんなの学校」が教えてくれたこと)を取り上げ、この本で書かれている大阪市立大空小学校の取り組みからの気付きを対話します。参加者は、課題図書を事前に読み、グループに分かれて本からの気付きを話し合いますが、○○ページに書いてあった文章に共感した、など、同じ本を読んでいることによって学びが深まりました。
学校というコミュニティが様々な教育の形によってその姿が変容し、セグメント化されて「当たり前」とか「普通」を考えることの方がむづかしくなってしまった教育現場で大空小学校が果たした役割は大きい。しかし、あくまで学校は学校。限られた地域での出会いだけでは教育は変わらない。この会に関わり未来の先生が集う場所「UNPORTALISM Education」を牽引する埼玉県小学校の山下揺介先生から最近のオンライン時代における教育イベントが多い中でのこのイベントの意義について伺った。
小学校教諭として、一緒にプログラムを作らせていただいた立場として参加させていただきました。 私が、地域の教師が自己実現できる場としてつくった会の名前が「みんなの職員室」だったので、このワークショップには勝手にご縁を感じています。 当日は、なるべく参加者の方が多く話せるように聴くことを意識していたのですが、グループワークを進めていくと私も色々と話したくなるワークショップでした。 全国の先生方とこのように職員室について語れる場があるって素敵だなと再確認できました! プログラムを一緒に作った他の教師仲間も話していたのですが、私たち教師は、現場で日々教材研究と児童理解に努めています。しかし、なかなか学校教育の課題を現場だけでよりよくしていくことは難しいです。 小林さんなど教師ではない方々がこうして日本の教育と教師(もちろん子供のために)をなんとかしようと支えてくださることに感謝しています。 第1回の会が終わり、私も自校の職員室をよりよくしようと主に5点行動に移しました。 ①9月の教材研究を学年5人で教科を割り振って各自提案して行いました。 ②本市は研修で木村泰子先生をお招き(zoom)したので、そこでの学びを学年LINEグループに挙げて共有しました。 ③夏休み中に修学旅行の下見をしたので、その様子や思いをA4一枚にまとめて職員室に掲示をしました。(親睦会企画で他学年や管理職も1学期どうだったか掲示しました) ④学年団で教科指導の実践報告ワークショップを30分間限定で行いました。実践のよかったところを他の教師からフィードバックしてもらい自信につながりました。また、指導の悩みも共有することができました。 ⑤他学年の先生方と今まで以上に会話するようになりました。今後は授業も交換できたりするとおもしろいなとも考えています。 今後、「みんなで創る みんなの職員室」が全国に広がっていき、日本中の学校が教師も子供もイキイキと幸せに学べる場になるといいなと願っています。
現役の先生からも様々なことに刺激を受けるようだ。
次回は10月4日!このアクションは止まらない
小林代表のレポートは続く。
後半は、Miro というオンラインホワイトボードを使ったグループワークを行いました。課題図書からの学びから自身が働く学校の姿を見つめ直し、「みんなの職員室」を創るために大切なこと、を話し合いました。Miro を使うことにより、多様な意見が可視化され、自分のグループだけでなく、他のグループの対話結果も把握することが出来ました。
最後に、一人一人がワークショップの振り返りを行い、これから自分が取り組んでいきたいことを具体的に考えてもらいました。
参加アンケートでは、8 割の方が「大変良い」という評価、8 割以上で「大いに気付きが得られた」という回答でした。また、このワークショップを他者に勧めたいですか?という問いに対しては全員が「はい」と答えています。
あなたの職員室の満足度は?という質問では、6割が「不満」「やや不満」、4割が「満足」「概ね満足」という結果になりました。「定期的に意見交換したい」「また開催してほしい」という声も多く、引き続きワークショップを開催していく予定です
低予算映画の「カメラを止めるな」が大ヒットしたように小林代表の思いが突っ走る「みんなで創るみんなの職員室」はまさに「教育の思いを止めるな」だ。
次回の概要はこちら、
https://peatix.com/event/1619939
「みんなで創る みんなの職員室」ワークショップ
▼日程
2020年10月4日(日) 9:00~12:30
▼会場
オンラインのみ
※ZOOMとMiroを使います。
▼参加費
早割チケット(数量限定) 2,000円
通常チケット 3,000円
▼対象
教員(校種は問いません)
▼課題図書
木村泰子著 「みんなの学校」が教えてくれたこと (定価1,400円)
ISBN978-4-09-840163-5 小学館
※課題図書を未読の方はご自身で購入し、当日までにお読みください。
▼ワークショップの流れ(変更になる可能性があります)
9:00 – 9:25 イントロダクション&チェックイン
9:25 – 10:05 課題図書に対する学びの共有
10:05 – 10:15 休憩
10:15 – 10:50 グループワーク①
10:50 – 12:00 グループワーク②(途中休憩あり)
12:00 – 12:20 振り返り
12:20 – 12:30 ネクストステップ
⬛️小林 誠司(ミライプラス 代表)
ソニー株式会社に新卒入社。画像処理などの技術開発に従事。100以上の特許出願、社内MVP受賞。 世界初4K外科内視鏡などの製品化に技術開発シニアマネジャーとして貢献。その後、人事にて人材開発、キャリア支援を通じ社員の学びに携わる。2019年末に退職して独立。子どもたちが好奇心を持ち、自ら学び、考え、チャレンジする世界を作ることを目指し、ミライプラスを設立。教育関連イベント、学校現場でのキャリア教育など実績多数。ビガーゲーム認定トレーナー。
最後に反響も大きく、様々な感想も先生たちから寄せられている。読んでいただきたいので、掲載できるだけ掲載させていただく。
◆来週行く公立学校の校長先生と今日の話をしてみます!
◆対話の場を作って頑張っていましたが、コロナを言い訳にしてちょっと後ろ向きになっていました。職員と大切なことを対話する場をもっと作りたいとおもいます。2学期初めに必ずやる。そして、対話できる職員集団を自分から作っていく。
◆このマインドを保ちながら、管理職を目指します!
◆職員室の隣の席の先生と今日の話をします!
◆8月中に、まず学年でワークショップを開きます!
◆人を変えようとする前に自分が変わります。
◆相手を受け容れながら、話しをしていきます。
◆校長目線、教員目線ではなく、子ども目線・保護者目線で、なんでも意見を言い合っていきたいと思います。
◆とっても幸せな時間でした。「わかってくれない!」と思わないで、広げることを頑張ってみます。まずは個人の思いを引き出す努力をしていきます。
◆自分の思いを大切にする姿勢を育みます。そして、職場の 1 人でいいから思いを伝えます!
◆大人子供問わず、いろいろ方と対話ができるようにします。
◆今日ここにいる学校の方々と共有したいです。そして今できることにチャレンジしてみたいです。
◆校内で始めた自主研修をさらに盛り上げます。様々な情報を共有する Web ページ作ります。
◆子供も教師も、みんなでお互いを尊重し合うためにも、相手の話を聞く姿勢をもち、自分も話す姿勢をもちたいです!
◆心も教室もオープンにします。
◆自分なりに目的や理念を夏休みの間に考えてみようと思います。そして、少しずつでも対話して行きます
◆➀今この場に参加していない、職場の仲間を一人でもいいから誘いたい。②どんな管理職であれ、(できれば巻き込む努力をあきらめず)職で学びに関する対話を増やしたい。③ここで出会ったメンバーとコミュニティーグループで、もっと対話をしたい。④ゆくゆくは、木村先生と大空小学校の職員を交えて対話をしたい。⑤みなさんの、ネクストステップをきっかけにして、自分でも真似してみたい。⑥管理職と教育委員会を巻き込む。
◆フラットな先生方の対話の場をもっとふやしていきたいです。
◆同じ職場の先生方と協力して、よりよい職員室にしていきます!!
◆お互いを認めあえる人間関係が大切だと感じました。ありがとうございました。
◆こういう場で対話ができると、自分は一人じゃないんだという勇気がもてますね。まずは、ここで話したようなことを職場の中の誰か一人にでも話してみたいと思いました!あと、若い方の情熱、意欲に感動しました!
◆今日はありがとうございました。理想は分かりながら、現実は…とモヤモヤする時間でした。学校では、異動したてなので新参者なのですが、立場はありますのでできることはあるなと思いました。校長と主幹に働きかけて、何らかの形で対話の場を作っていきたいと思います。
◆理念の共有って、本当に大切なことだと感じました。自分のできることは、何かと考えたら若手の人たちを巻き込んで、ざっくばらんに話せる会を作ることだと思いました。
◆本日はありがとうございました。このワークショップで学んだことや、感じている自分の思いを、勇気をもって発信していきます。同僚を巻き込んで、線から面に!勇気を出さないと何も変わらないので、口だけにならず行動に移します!話しかけます!
◆夏休み中にこの場にいたみなさんと共有したいです。月 1 で、オンライン夜会開きたいです。まずは、対話をもっとさかんにしたい。
◆目的をもって、自分にできることを考えながら少しでも職場が変わるよう働きかけていきたいと思います。貴重な時間、ありがとうございました!
◆自分にできることを探して実行するのみですね、今日はたくさん勇気をいただきました!ありがとうございます。
◆①自分の思いを発信していく。②対話が生まれやすくする、チャレンジしてみようと思える環境整備をしていく。③必要のない仕事を減らす→やりたいこと、やるべきことに時間を使えるようにす
る。
◆私はこれまで、「みんなで創る」の意味を浅く捉えていました。しかし、今回のWS を通じて、「みんなで創る」とは、それぞれが当事者意識をもつことだと考えるようになりました。私は、これまで以上にあたりまえを見直し、多様な人々との対話を大切にしていきます。
◆⑴自分の考えがちょっとごちゃごちゃしているから、自分の言葉で自分の思いを整理する。⑵自分の弱みや苦手を出すことをマイナスとしないようにする。⑶無理と諦めず、理念の共有を少しずつする。
◆今日の学びを前任校の同僚と共有し、すべての子供の学習権を保障できる組織づくりについて検討していく。
◆向かいたい方向性を共有できるように、対話をしながら、子供のために、同僚(教職員のために)、よりよい職場の環境の改善ができるように働きかけます!
◆職員室だけでなく保護者会でも対話の場をつくっていきます!
◆理念=全ての子供の学習権の保障。これが、実はまだストンと落ちていない。ここを徹底的に練る、職場で対話する。どんな管理職であっても、その中でできることはあるはず。それも、手段として学年単位、個人単位で考えたい。
◆給食ローテーションから始めよう。一人仲間をこの会に巻き込む!どうせ文句は出るのだからやりたいことをやってやろう!
◆①違いを楽しめる自分に。②自己開示をしていく。(弱みもオープンに)③みんなに自分から挨拶。一言声かける。(大人、子どもにも)…周りの人の自己重要感を満たす声かけを心がける。(みんな大事な存在だということを伝える。)
◆自分の弱みを見せる事 校内研究を軸として、目的を明確化する、共有すること各学年などの取り組みを見える化し、対話を生むきっかけを作ること この3つを 2学期からやりたいなと思いました。
◆ご参加のみなさんから、勇気をいただきました。小さなカイゼンと仲間づくりを進めていきます!本日はありがとうございました。
◆①ムダをなくして余裕をみんなでつくっていく対話②よい実践の紹介・共有③いろいろな人との何気ない対話
◆目的は何かを考え、対話をしたいです。まだぼんやりしていますが…目的と手段を見極めたいです
◆自分らしくチャレンジをしていきたいです 自分らしさを表現していこうと思います
◆保護者と仲良くなって、サポーターを増やす。給食時間などで学年で児童を見ていく。
◆このワークショップを通じて、話す内容を変えて行ったり、人の手を借りたりすることがとても重要だと考えるようになった。そこで、私は、とにかく誰とでも話をす
ることを継続して、人の力を活用することに取り組みます。
◆若手研修会があるのでそこから変化を起こしていきたい
◆・目標・目的を確認、見直しをする。
・みんなで目的を考え、共有するための関係づくり。日々の小さなコミュニケーションを大切に。他の職員の学級の子ども達、仕事に関心をもつ、それらについて話題にする。・幅広く人とつながる 遠い人から近い人へ 現場に還元できるよう行政職の方とのつながりを大切にする。よんなな会、オンライン市役所
◆これまで、「成果が見える一発逆転満塁ホームラン」を打とうとしていましたが、「考え得る手段を使って、どうにかして1点をとるためにつなぐ」ことが「大きな成果を生む」と考えるようになりました。
「職員室で対話ができる準備を進める」、「横のつながりをつくる」、
「小さな成果から『やればできる』を実感する」に取り組みます。
◆あきらめず妥協せず、自分ができることを地道にやっていこうと思いました。この学校教育の負の連鎖に飲み込まれないように頑張ります&頑張りましょう!今日はありがとうございました!
そして、冒頭からの「普通じゃない」文章の始まりも改めて当たり前だと思っていることに向き合うこと。そんな気づきも含めて全てが小林代表の演出ではなかったのかと思わせてしまう。小林代表ありがとうございます。 (UNPORTALISM Education編集部)