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コラム:「卒業」井波祐二教諭

明日は当校定時制の卒業式。担任として初めて卒業生を送り出します。初任が夜間定時制だと全く想定していなかった5年前、ふと思い返してみれば、本当にあっという間の5年間でした。

そんな中、今回コロナウイルス感染症対策のため、卒業式は保護者・来賓なしでとり行われます。この状況だからとはいえ、それぞれ事情がある中で何とか高校を卒業することになった娘・息子の晴れ姿を卒業式で見たかった保護者の気持ちを考えると、本当に心苦しく思います。また、保護者会なども中止のため、直接ご挨拶することもできません。なので、保護者に電話でご挨拶しました。

保護者の皆さんから、たくさんの心温まるお言葉をいただきました。そして最後に、中学3年間不登校で、当校では私が4年間担任として接した生徒のお父さんから開口一番に言われました。

「先生、私は悔しくて仕方ないですよ」

そうですよね。本来なら、保護者として絶対卒業式は参加したいと思う。男手ひとつで娘を育て、親子でしか分からない苦労を共に乗り越えてきたんだから…。そう思って言葉を返そうとしたら、続けてこう言われました。

「先生、本当に悔しい。本当はちゃんとした形で卒業式やりたかったでしょ?だって、先生はこの4年間本当に子供たちのために頑張ってくれたって、私は分かっていますから。先生の気持ちを思うと、私は悔しくて仕方ありません。」

生徒のお父さんは、自分ではなく私の気持ちを察してそう言ってくださいました。それを聞いて、何て返していいか分からず、思いもよらなかったそのお心遣いに「ありがとうございます」以外の言葉が見当たりませんでした。お互いに、ありがとうございますと電話で言い合う時間が続きました。

保護者の皆さんの想いを胸に、明日は良い卒業式にしたいと思います。

(東京都 高校教諭 井波祐二)

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