連載企画「未来の先生インタビュー」:豊富な経験から生まれた教育との向き合い方〜千葉県公立中学校教諭 中村先生の想い〜
今回、千葉県で公立中学校の英語科教員をなさっている中村柾先生に取材を行った。中村先生はアメリカでの教育実習やインドやアフリカのスワジランドでのNGOインターン、自身の体験を綴った書籍の出版など様々な経験を持たれている。今回の取材では、英語教育に対する考え方やこれまでの経験、今後の展望について話を伺った。
英語科教師として子どもたちの成長に関わっていく上で、授業や教育の中で目標としていることは何ですか?
英語科教師として授業・教育に携わるにあたって、世界を広げることや生の体験を子どもたちに提供すること、ICTに慣れ親しませること、挑戦する場を与えることなどを大切にしています。
また挑戦に関しては、自分が挑戦する姿を子どもたちに見せることが重要であると思うので、「クラウドファンディングに取り組み、ミャンマーに行って100人にインタビューをする」など、自分自身も様々なことに挑戦し続けています。さらに生の体験を子どもたちに提供することやICTに慣れ親しませるということに関しては、かつて自分が留学していた際のルームシェアを行っていた友人を呼んで授業を行うことや、ICTを用いて海外の方々と交流を行うということ、授業内で子どもたちに動画を作ってもらうことなどを行っています。
英語を「理解する」で止まるのではなく、その先の「使えるようになる」というところまで到達するためにも、このような実践的な学習活動を取り入れることなど、様々な工夫を行い、授業に取り組んでいます。
中村先生は日本人が英語を学ぶことの必要性についてどうお考えですか?
日本人が英語を学ぶ必要があるかどうかに関して言えば、どっちでもいいと思います。ただし私自身の経験を通して伝えたいこととして、英語ができるようになることで、その人のあらゆる可能性が広がると思っています。だから私は、子どもたちが英語の楽しさや魅力に気づき、自ら学ぶためのきっかけを与えていきたいと考えています。
教師を経験してきた中で特に嬉しかったことは何ですか?
教師をする上で「子どもたちの世界を広げる」ということを1つの目標に定めているので、生徒が「留学に行きたいです!」や「海外に行ってみたいです!」といったことを言われた時は嬉しかったです。また子どもたちの自発的な学習や取り組みなど、自発的に動く姿を見ることが出来たときも嬉しかったです。
そのような教師経験の中でも辛かったことは何ですか?
生徒を指導した時に、自分の思いや考えが上手く伝わらなかったときはつらいと感じる時もありました。生徒に悪態をつかれることや、ひどい言葉を掛けられることもありますが、感情的にならずに冷静に対処しなければいけないです。これらも教師をしていく中で1つの大変なことであるかもしれません。しかしながらその子たちを指導することを通して、「どのような言い回しをすればよかったのか」「どのように接するべきだったのか」「他にどのような良いところがあるか」などを考え、自分にベクトルを向けることで、多くの学びがありき、成長につながったと思っています。
これからアメリカの大学院に留学するとのことですが、そのように考えるにいたったきっかけは何ですか?
「オンライン寺子屋」をもっと普及させ、「公立のオンラインスクール」を作り、教育界をより良い方向へと変えていきたいと思ったからです。「オンライン寺子屋」とは、学校に行くことが出来ない児童や、ビデオでの学習にはやる気が出ないが教師と1対1ならば学習できるという児童に向けて、zoomなどを用いて1対1で児童の指導を行うというものです。「オンライン寺子屋」をやっていくなかで、需要の声がたくさん見受けられたことから、「公立のオンラインスクール」を作り、テクノロジーを用いて多様な教育をたくさんの児童に向けて展開していきたいと思うようになりました。そしてアメリカにおいては「オンラインスクール」が実在するので、アメリカでオンラインスクールでの教育について研究していこうと考えるようになりました。
最後に中村先生が考える教師をしていく上で最も重要なものは何ですか?
子どもたちを愛する心だと思います。これまでテクノロジーや英語が大事ということを述べてきましたが、やはり根底にある一番大事なことは子どもたちを愛する心だと思います。
どんな子どもたちも見捨てることなく、最後まで背中を押してあげるということが大切だと考えています。
〜編集後記〜
今回の取材を通して、英語教育に対する考え方や挑戦し続ける姿勢、これからの教育について知り、学ぶことが出来た。中村先生はたくさんの国での留学やクラウドファンディング、書籍の出版など、様々な経験を積んでおられており、その経験に基づいた考え方や価値観の広さというものは今の自分にとってとても参考になるものであった。今回の取材を通して、これからも様々な物事に挑戦し、たくさんの経験を積み、自分自身の成長につなげていこうと強く思った。
(Unportalism Education 編集部 柳宗亘)