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今宮ダンス部ファイナルライブ~コロナ自粛を乗り越えて~

アメリカ大会中止の悔しさを乗り越えた彼女たちの成長を見た

今宮ダンス部恒例の毎年6月に行われる「3年生引退ライブ」

1部の公演につき約500人が訪れるほどの満員御礼の中、2部構成で開催される。

保護者はもちろん、違う部活動で切磋琢磨し合った今宮高校生や、陰ながら応援して下さった先生方、地元のおじいちゃんおばあちゃんまでが足を運んでくれる。

このライブを無事終演させてこそ、引退したという実感が湧いてくるのだ。

「今年は開催が厳しいか」

顧問の先生と部員たちは、対策を含めた実現に向けてギリギリまで粘った。

しかし、6月の開催は見送られることとなった。

彼女たちはそこで悩んだ。

7月に延期してまでライブを開催するべきなのか。

学校の体育館で大会の演目だけを披露して引退するべきなのか。

次の目標である「進路」のことが頭をよぎり、彼女たちの中でもさまざまな意見が出た。

しかし3月末に出場予定だったアメリカ大会がコロナで中止になり、ダンス部1番の目標を無くした時の気持ちを思い出した。

「悔しい」「悲しい」「もどかしい」

その思いをぶつけるためにも、やっぱり「引退ライブ」の実現に向けて頑張ろうと意見がまとまった。

6月15日に学校と部活が再開されて、引退ライブは7月12日に決まった。

1ヶ月もない。

日程やプログラムの調整から、当日の進行・運営まで全てを部員たちで行う。

例年20以上の演目を披露していたが、今年は「これだけは披露したい!」という10の演目絞った。

みんなと4ヶ月ぶりに会えた嬉しさを噛みしめながら、ひたすら練習した。

彼女たちの練習を初めて見た時「これは凄い引退ライブになる」と感じた。

誰がキャプテンなのかわからない程に皆が粒だって見えた。

考えて行動しているのはもちろん、そこにそれぞれの責任感があった。

「私は今、このためにこれをしている」それが練習時間からも休憩時間からも感じられたので後輩達が誇らしく思えた。

練習の声掛けも「そこ、めちゃいい感じ!」というようなポジティブな発言が自然と出てきていて「この代は凄い。辛くて悔しい経験をしたからこそ絶対的に逞しくなったんだ」と思った。

運営の部分でも例年通りにはできなかったが、彼女たちは制限がある中で楽しく考えた。

人数制限で保護者しか入場できなかったため、Instagramでライブ配信をしたり、声援禁止だったためスティックバルーン1つ1つにメッセージを書いて配ったりした。

このような対策を駆使して様々な人の協力があって何とか実現できた「引退ライブ」。

このライブにぶつける気持ちが溢れ、熱い熱いステージになった。

今までもそれぞれの代のドラマがあったが、今年の最後のステージは一味違っていたように見えた。

1人1人の表情が生きていて、堂々と自信に満ち溢れていた。

そんな彼女たちからは、誰か1人が引っ張っていくという活動ではなく、みんなで声を掛け合いながら、背中を叩き合いながら、前に進んできた。そんな印象を受けた。

「コロナ」によって想像を遥かに超えるであろう悔しい思いをした彼女たち。しかし、現実をしっかりと受け止め、みんなで話し合い、前を向いてきた。彼女たちはこの経験でさらに逞しくなった。

もうすでに次の目標に向かって突き進んでいるだろう。

(文:今宮ダンス部OG渡邉夕貴)

(編集:unportalism education早川和美)

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