【連載】生物オーノ先生のひとりごと①"表現"
【"表現"において大切にしたいこと】
教育の様々な場面で、「何かを表現する」機会が増えてきたように思います。
それは、芸術関連に限りません。
レポート作成、プレゼンテーション、動画作成など、様々な場面で様々な表現が要求されるようになってきています。
そうした「表現」全般に対して、思うことがあります。
何かを表現するとき、技術的に上手いかどうかは大事かもしれません。
しかし、それよりも大事なのは、「何を表現したいか」という想いだと思います。
強い想いが滲みでていれば、それが人の気持ちを震わせ、感動が生まれます。
逆に、技術的に高度でも、想いが感じられなければ、消費されるだけのコンテンツになってしまうかもしれません。
また、それに関連して、「今できているもの・こと」が立派な表現より、「表現したいと思っているもの・こと」が遠くの方にかすかでも感じられる表現に魅力を感じる自分がいます。
例えば、自分が吹奏楽部だったので、音楽の例で言えば、目の前で鳴っている音が技術的に未熟だったとしても、音楽の流れの中に、一瞬「キラッ」とする瞬間が顔を覗かせ、その奏者が目指している表現がバシッと伝わる瞬間があったりします。
その時、技術的なものとは関係なく、心から「音楽」を感じ、幸せな気持ちになります。
今が立派かどうかではなく、「その先」が見えているか、感じられているかを自分自身も大切にしたいし、中高生にも大切にして欲しいと思います。
それは上に挙げた音楽の例だけではなく、あらゆる「表現」に共通のことです。
それは、「目に見えるわかりやすいもの」だけに捉われすぎないようにする、ということでもあると思います。
(私立三田国際高校:生物教諭 大野智久)